一匹の獣として威厳を保つためには、
林檎などは皮ごと丸齧りにすべきところ。
しかし、寄る年波には勝てないだろうから、
せめて猛獣の気分を味わえるよう皮を剥く。
ゴワシュッ!などと精一杯の噛みつき音が気分を昂め、
ほとばしる果汁で唇どころか頬までも濡らす私。
およそ人間としての品位を保っていたとは言えないが、
口の中から聞こえるシャアリシャアリを繰り返すうち、
この私は、まだまだ衰えてなどいない・・・
と、怪しく笑みを浮かべながら独り頷くのであった。
つづく?